任意後見契約と一緒に考えたい財産管理委任契約とは?

任意後見契約→認知能力の低下→家庭裁判所へ申し立て→後見の開始


財産管理委任契約とは、任意後見契約を結んだあと、認知能力が低下し任意後見が実際に開始するまでの期間の心配に備える、財産の管理や運用を信頼できる家族や専門家に委任する契約です。
この契約により、財産の管理を依頼された委任者は、依頼者の財産を適切に管理し、運用する義務を負います。

財産管理委任契約のメリット

  1. 身体機能が衰えてくると、日常生活において単純な預金の引出しや料金の支払いにも困ることがあります。
    そんな時にこの契約を結んでおくと、そういった困り事を委任することができ、安心して日常生活を送ることができます。
  2. 認知機能が衰えてくると、自分で財産を管理することが難しくなってきます。
    賃貸不動産の家賃収入管理や、日常生活における契約や書類作成を委任し、詐欺などのトラブルを避けることができ、生活の質を向上させることができます。

財産管理委任契約の注意点

財産管理委任契約は、公正証書で作成しておくことをおすすめいたします。
ゆうちょ銀行では、任意後見契約と財産管理委任契約が同時に締結されている場合、契約後6か月以内であれば公正証書と任意後見登記事項証明書、任意後見受任者の本人確認資料としての運転免許証などの提示で、代理人届を提出できます。
金融機関により、取り扱いが違うので注意が必要です。

契約に際しては、次の点に注意しましょう。

  1. 信頼できる委任者の選定: 財産管理を任せる相手は非常に重要です。信頼できる専門家や親族を選ぶことが大切です。
  2. 契約内容の明確化: 契約書には、財産の範囲や管理方法、報酬など、詳細な内容を明記する必要があります。曖昧な契約は後々トラブルの原因となります。
  3. 定期的な見直し: 財産の状況や依頼者の生活状況が変わることがあります。そのため、定期的に契約内容を見直し、必要に応じて修正することが重要です。

認知症などによる判断能力喪失の場合

財産管理委任契約は、委任者(依頼者)が判断能力を持っていることが前提です。
これは、委任契約が依頼者の意思に基づいて成立するものであり、判断能力を失うことでその意思が継続できなくなるためです。

判断能力を失ったときは、任意後見を開始させるために家庭裁判所へ申し立てをし、任意後見人が財産管理を行います。

まとめ

財産管理委任契約は、財産の適切な管理を第三者に任せることで、依頼者の生活を安心・安全に保つための有効な手段です。
しかし、信頼できる委任者の選定や契約内容の明確化、定期的な見直しが欠かせません。
また、認知症などで判断能力を失った場合に契約が終了することを理解し、任意後見契約と同時に契約をすることが重要です。
財産管理委任契約と合わせて、生活や療養看護の事務も委任するとより安心です。(「生前事務の委任契約」といいます。)

当事務所では、財産管理委任契約の作成から運用、任意後見契約の締結までサポートいたします。
お問い合わせはコチラへ。お気軽にどうぞ。

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