遺言書を作ったら終わりじゃない! 定期的な見直しの重要性

「よし、遺言書を書いたからもう安心!」

そう思っていませんか?

実は、遺言書は一度作成したら終わりではなく、定期的に見直すことが重要です。
なぜなら、時間が経つにつれて家族の状況や財産の内容が変わり、当初の遺言書の内容が適切でなくなることがあるからです。

この記事では、遺言書を見直すべきタイミングや、見直しをしないことで起こるリスクについて詳しく解説します。


1. 遺言書を見直すべきタイミング

遺言書を作成した後、次のような変化があった場合は、内容の見直しを検討する必要があります。

① 家族構成が変わったとき

相続人の増減

  • 子どもや孫が生まれた
  • 相続人が亡くなった
  • 離婚・再婚した

例えば、遺言書を書いたときには長男と次男しかいなかったのに、その後三男が生まれた場合、遺言書の内容を変更しないと三男が相続できなくなる可能性があります。

相続人の関係性の変化

  • 介護してくれた人に財産を多く残したい
  • 疎遠になった相続人への遺産配分を変更したい

たとえば、長男が遠方に引っ越して疎遠になり、逆に次男が親の介護を全面的に担うようになった場合、遺産の分け方を変更したくなるかもしれません。


② 財産の内容が変わったとき

不動産の売却・購入

  • 遺言書で相続させる予定の不動産を売却した
  • 新しく不動産を購入した

例えば、「この家を長男に相続させる」と遺言書に書いていたのに、その家を売却してしまった場合、その遺言の部分が無効になり、トラブルの原因になります。

金融資産の増減

  • 退職金を受け取って資産が増えた
  • 事業がうまくいかず資産が減った

財産が大きく増減した場合、遺産の分け方を見直すことで相続人間の公平性を保つことができます。


③ 法改正があったとき

相続に関する法律が変わった

相続法は時々改正されます。
例えば、2019年の民法改正では、

  • 配偶者居住権の創設(配偶者が亡くなった人の家に住み続ける権利)
  • 自筆証書遺言の方式緩和(財産目録をパソコンで作成可能に)

などが変更されました。

法律が変わると、以前の遺言書では不十分になる可能性があります。
定期的に専門家と相談し、最新の法制度に合わせた遺言書にアップデートすることが大切です。


2. 遺言書を見直さないと、どんな問題が起こる?

遺言書を放置していると、次のようなリスクがあります。

① 遺言書が無効になる可能性

  • 遺言書に書かれた財産がすでに存在しない(売却・処分済み)
  • 相続人が変更され、実際の状況と合わない

例えば、「○○銀行の預金1000万円を長女に相続させる」と書いていたのに、その銀行の口座を解約してしまった場合、長女は何も相続できなくなってしまいます。


② 相続人同士のトラブル

遺言書が古いままだと、遺産の分け方が現状と合わなくなり、相続人同士の対立が生まれることがあります。

新しい相続人が登場したのに、遺言書に反映されていない
遺産の価値が変わり、不公平な分割になっている

「昔の遺言書どおりに分けると納得できない!」といったトラブルが起きる可能性があります。


③ 相続手続きが複雑になり、時間がかかる

遺言書が現状と合わない場合、遺言の内容をどう解釈するかで相続人同士が揉めることがあります。

裁判に発展するケースも…
「この遺言の内容はおかしい!」と主張する相続人が現れ、遺言の有効性を巡って裁判になることもあります。
裁判になると、相続手続きが数年単位で長引くことも…。

せっかく遺言書を残したのに、相続人が困る結果になってしまうのは避けたいですよね。


3. 遺言書の見直しはいつ、どうやる?

① 5年ごと、または大きな変化があったら見直す

目安としては「5年に1回」または「家族・財産に変化があったとき」に見直すのが理想的です。

✅ 家族が増えた・減った
✅ 主要な財産(不動産・預貯金など)に変化があった
✅ 事業や投資などの状況が変わった
✅ 法改正があった

こうした変化があれば、一度遺言書を見直しましょう。


② 遺言書の書き換え方法

遺言書の内容を変更するには、
新しい遺言書を作成する(前の遺言書を破棄)
「遺言の変更」という形で新たな遺言を作成する

という方法があります。

特に「公正証書遺言」で作成している場合は、新しい遺言書を公証役場で作り直すのが確実です。


4. まとめ:遺言書は定期的に見直して、家族に負担をかけないようにしよう!

遺言書は一度作ったら終わりではありません。
家族構成や財産の変化
法律の改正
相続人の状況の変化

これらに合わせて、定期的に内容を見直すことが大切です。

「せっかく作った遺言書が使えなかった…」なんてことにならないように、5年ごとに見直しをする習慣をつけましょう!

また、遺言書の見直しや作成は、専門家に相談するとスムーズです。
定期的にチェックし、大切な財産を確実に相続人へ引き継げるように準備しておきましょう。

奈良市の佳日行政書士事務所では、遺言書の作成サポートを行っています。
当事務所のサポートで遺言書を作成の方には、定期的に見直しが必要でないか確認をさせていただいています。

お気軽にお問い合わせください。

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