認知症になっても家族が預金を引き出せる!? ~銀行の「予約型代理人」や「代理人予約」という新しい備え~

「親が認知症になったら、銀行口座のお金って引き出せないの?」
そんな不安を感じたことはありませんか?

実は、認知症などで本人の判断能力が低下すると、たとえ家族であっても、その人の銀行口座からお金を自由に出し入れすることはできません。
医療費や介護費の支払いに困るケースも少なくありません。

でも、今のうちからできる備えがあります。
それが、銀行の『予約型代理人』または『代理人予約』というサービスです。


■ 「予約型代理人サービス」「代理人予約サービス」とは?

このサービスは、本人が元気なうちに、将来預金の出し入れなどを任せたい人をあらかじめ銀行に届け出ておく制度です。

判断能力が低下した際、あらかじめ登録された代理人が、本人に代わって銀行窓口で手続きできるようになります。

成年後見制度と違い、家庭裁判所の手続きが不要で、銀行ごとに導入されている独自のサービスです。

導入されている銀行は、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、全国の信用金庫です。
(※当事務所調べです。ご自分のお取引のある銀行がこのサービスを取り扱っているか、お問い合わせください。)

三菱UFJ銀行の、「予約型代理人」サービスの説明はこちら

みずほ銀行の、「代理人予約サービス」の説明はこちら


■ 主なサービス内容

銀行により、多少の違いはありますが主な内容は次のとおりです。

  • 本人が元気なうちに、将来の代理人(家族など)を事前に登録
  • 本人の判断能力が低下した際に、医師の診断書等を提出することで代理人の取引が可能に
  • 対象取引:預金の引き出し、振込、各種支払いなど
  • 登録は銀行ごとに必要

詳しくは、お取引の銀行へお問い合わせください。


■ 共通するメリット

これらの銀行の予約型代理人サービスには、次のようなメリットがあります。

成年後見制度に比べて手続きがシンプル
複雑な家庭裁判所での手続きが不要で、銀行とのやりとりだけで完結します。

銀行内で完結するため導入しやすい
書類の提出や確認はすべて口座のある銀行で行うため、手続きのハードルが低いのが特徴です。

費用が比較的安価(または無料)
成年後見制度のような申立費用や報酬がかからず、経済的な負担も抑えられます。

■ 注意点と限界

一方で、利用にあたっては注意すべき点もあります。事前にしっかり確認しておきましょう。

⚠️代理人として指定できるのは、原則として配偶者または二親等以内の血族
銀行の総合的な判断により、ご指定の代理人ではお申込をお受けできない場合があるようです。

⚠️ 利用できるのは、その銀行の口座に限られる
予約型代理人サービスは銀行ごとの制度です。他の金融機関の口座には適用できません。

⚠️ 代理権が発動するには、医師の診断書などが必要
「判断能力の低下」が明確になったときにのみ、代理人の権限が有効になります。

⚠️ 不動産の売買や他の金融機関での手続きには使えない
この制度でできるのは、あくまで登録した銀行の預金に関する手続きに限られます。

⚠️ 一度認知症が進行してしまうと、新たに登録はできない
本人の判断能力が失われた後では、代理人の予約登録は行えません。早めの備えが必須です。


■ こんな方におすすめです

以下のような不安や希望をお持ちの方に、予約型代理人サービスはとても有効な選択肢です。

  • 将来に備えて、家族に口座管理を任せたい
  • 成年後見制度までは使いたくない、簡単な方法を探している
  • 銀行口座の凍結によるトラブルを避けたい

こうしたお悩みに対して、比較的手軽に導入できる備えとして、多くの方が注目しています。


■ まとめ 〜備えは「今」がベストタイミング〜

銀行の「予約型代理人サービス」は、本人が元気なうちしか利用できません。
認知症が進行してからでは手遅れになることもあるため、今のうちに準備しておくことが非常に重要です。

銀行ごとにサービスの内容は異なりますが、いずれも「家族にお金の管理を任せたい」という希望に応える手段として注目されています。

ご家族の安心と生活を守るために、今一度、ご自分や親御さんの口座がどの銀行にあるかを確認し、予約型代理人の利用を検討してみてはいかがでしょうか?


※本記事は2025年5月時点の情報をもとに執筆しています。サービス内容は変更されることがありますので、最新情報は各銀行の公式サイトや窓口でご確認ください。

■ ご相談はこちら

以下のようなケースでは、予約型代理人サービスだけでは十分な備えにならないことがあります。

  • お取引の銀行がこのサービスを取り扱っていない
  • 信頼して代理人を任せられるご家族がいない
  • 預金だけでなく、不動産の管理や売却も視野に入れて対策したい

このような方には、成年後見制度や任意後見契約、家族信託、遺言書の作成など、より柔軟な制度をご提案できます。
状況に応じて、一人ひとりに合った方法を丁寧にご説明いたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

初回相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。

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